障子やドア、引き戸の材料

石巻にある前澤木工所さん、

いつもお世話になっている

建具を製作している木工所です。

和風住宅の名脇役

今の住宅でもそうだとおもいますが、

大工さんが家を造っていくわけですが、その過程では

大工さんだけでなく様々な業者さんが家づくりに

関わっています。基礎のコンクリートをつくる業者

屋根をつくる業者さん、水道を設置する業者

電気工事業者さんなど

まだまだ他にもいるほどたくさんの方が関わって

家ができるわけですが、

和風住宅と大工さんに関して言うと

大工さんが床の間や玄関などを和の雰囲気を

感じる空間を作っていくわけですが、

最後にピシッと決めるのが

建具屋さんが造る障子や、襖、引き戸などの

建具なのです。

猫間障子を造っていました

前澤木工所さんでは、私が訪問したとき

職人さんが猫間障子を造っている最中でした。

これが猫間障子の材料の”青森ひば材”です。

雪見障子、実は猫間障子と言います

今回のブログタイトルは雪見障子

こちらの地域でも雪見障子というと

障子の一部が上げ下げできて外を眺めることができる

障子としてあげられることが多いのですが、

関東では「猫間障子」と言われるのです。

雪見障子は上げ下げする障子は付かずに

障子の下半分がガラスになっているだけの

ことを言うのです。

これに

上げ下げする障子が付いたものを

猫間障子と言います。

猫間障子はもともとは開口部分も

雪見障子の半分ほどで

その名のごとく、猫が通れるくらいの

開口の高さで刷り上げ障子が付くものを

いい、ガラス戸もありませんでした。

こちらの地域では猫間障子とは

いわずに雪見障子というと

障子の下半分がガラス戸で

そこに上げ下げできる障子が

スライドするものをいいます。

世界遺産、平泉の中尊寺の材料

”青森ひば”はその名の通り青森県が産地の香り高いヒノキに似た木材です。

今では植林されたヒノキがたくさんありますが、

昔は東北にはヒノキは自生していませんでした。

かわりに青森ひばがありました。

世界遺産に指定された平泉中尊寺もその昔

青森ひばを使って建てられました。

それほど重宝されたすばらしい木材なのです。

現在でもその貴重さはかわらず、青森ひばの

木材は高級材に位置付けられています。

最近では珍しい青森ひばを使って建具を

製作していた場面に遭遇できたのは

とてもラッキーなことでした。

雪見障子の上部にスライドする部分「摺り上げ障子」を

つくっていました。

職人さんというのは、

ただただボーっと見ているだけでも様(さま)になるというか

絵になります。見ていて飽きません。

職人さんの仕事を邪魔しないように思いながら

シャッターをきりますが、気になってしまうのか

逆に声を掛けられてしまいます。

最近では、和室の仕事はめっきり減ったようです。

ですが、たまに銘木をつかった建具製作は

やはりやりがいがあるとのこと。

青森ひばの額縁に杉の鏡板が入っています。

障子の腰板と呼ばれる部分です。

腰板の入った引き戸

代表の前澤さん

杉の腰板が波打たないように普段から平らにして縛っておかないと、とのことです。

手の込んだ仕事をされる前澤木工所さん

造るうえでのいろいろなアイデアや方法を

惜しげもなく教えてくれます。

今でも先へ先へアイデアを考えたり

話が尽きません。

吟味された材料で

こだわりぬいた造りで

一度作った建具は

これから長い間

直しながら愛着もって

その家の一員になっていくことでしょう。