樹齢150年 花泉永井の嘉永松

江戸時代の街道松

岩手県の最南に位置する一関市花泉

平成の大合併前は

岩手県西磐井郡花泉町でした。この町を過ぎると宮城県となります。

花泉町の永井地区に

宮城沿岸の石巻から一関を結ぶ

石巻街道沿いに約8000本のアカマツが

行き来する人を迎えていました。

古いものは江戸時代の嘉永（かえい）年間に植えられていて

樹齢はおよそ150ほどになります。

時代の流れで道路工事や虫害などで

現在は数本残るのみとなりました。

先般の道路工事で伐採された嘉永アカマツを

製材し、保管されていたものから

今回ご依頼をいただいて

カウンターを製作することになりました。

今回カウンターになるメインの天板と中板の材料

製作前の解説動画はこちら

元口から腐れがあり天板として使えないところはカットする予定です。

カットした端材は後ほど”あるもの”になりました。

年輪巾が狭く緻密です。

カウンターの脚になる板材です。大きな生き節がいい感じ。

製作編の動画はこちら

板の腐って朽ちたところをカットします。

脚の材料を平らに削っています。

こちらは中板をプレーナー掛けして削ります。

メインの天板をプレーナーで削ります。

両面削られた中板

天板を最終的な長さにカットします。

組立加工前の板材たち。

組み上げ加工完了

削ったことで無数にあった虫穴が出てきました。

大きく目立つあたりまでパテ埋めします。

天板のハナ割れをパテ埋め補修します。

サンディングや補修などが終わり

これからオイル塗装に入ります。

オイル仕上げ

今回一番の難所はこの無数の虫食いが出てきた

中板を仕上げることでした。

最終的には虫食い穴を完全にパテ埋めすることは

しませんでしたが、

オイル塗装で濡れ色を見ながら

虫食い跡がそれほど気にならなくなったところから

むしろ、これはこれでおもしろい感じに見えるようになりました。

オイル塗装で仕上がった中板。

脚の塗装

天板のオイル仕上げ

青シミや虫食いもありながらも

高樹齢の雰囲気が漂い

いい感じに仕上がったと思います。

とりあえず

中板は木裏使いとして使いましたが

取り外しができるので

反対にして虫穴がたくさんある木表を

表面にすることも可能です。

設置場所の関係で

今回は足裏にアジャスターを付けています。

完成しました。

腐れや虫食いがありながら

長年ゆっくりと育っていった嘉永の赤松。

原木からすべて同じ共木(ともぎ)で製作できました。

納品、設置

おおよそのサイズの確認以外

ほぼお任せにて製作させていただいたので

ご依頼されたお客様とは納品時に

初対面になります。

緊張の走る場面ですが、

無事納品となりました。

端材からできたもの

腐れがあって切り落とされた端材を使って

置き時計を製作しました。

コンピューター制御のNCルーターで

時計を加工しています。

嘉永の赤松から作られた時計です。